🚀 レーダー方程式計算機
レーダー方程式による最大探知距離の推定。電力・利得・波長・レーダー反射断面積(RCS)・SNRから、km・マイル・海里で距離を求めます。
このツールとは?
レーダー方程式は、レーダーの性能をハードウェアと目標で結びつける式です。一般的な形では最大探知距離R₀=[(Pₕ·G²·λ²·σ)/((4π)³·k·T·B·F·SNRₖ)]1/4。Pₕは尖頭送信電力、Gはアンテナ利得、λは波長、σは目標のレーダー反射断面積(RCS)です。分母にはボルツマン定数k、システム雑音温度T、帯域幅B、雑音指数F、所要SNRが並びます。
この式で最も重要な実務上の事実が「4乗根の法則」です。他の条件が同じなら、探知距離を2倍にするには送信電力を16倍にしなければなりません。逆に、受信機の雑音指数を1dB改善すれば、電力を1Wも増やさずに距離が約6%伸びます。レーダー設計者が受信系の雑音にここまでこだわる理由です。地上レーダーでは無線地平線の制約もあるため、見通し距離計算ツールもあわせてご確認ください。
仕組み
システムパラメータをSI単位で受け取り、周波数から波長を計算してレーダー方程式に代入します。システム温度は既定で290K、帯域幅は入力値を使用します。結果は、指定したSNRで単一パルスが探知できる理論上の最大距離です。損失、パルス積分、大気減衰などの追加要因は、SNR側に織り込むか別途計上してください。
| 目標 | RCS σ(m²) | 探知の目安 |
|---|---|---|
| 小型ドローン | 0.01〜0.1 | 遠距離では非常に困難 |
| 鳥・軽飛行機 | 0.1〜1 | アスペクト角に依存 |
| セスナ級航空機 | 1〜10 | 典型的な民間目標 |
| ジェット戦闘機 | 1〜5 | ステルス形状で低下 |
併せて出力される最小検出信号は、受信機が分解できる電力閾値の目安です。目標が通信リンクでどう見えるかを知りたい場合は、レーダーではなくFriis伝搬損失計算ツールを参照してください。
使い方
- 尖頭送信電力をワットで入力します。
- 周波数をMHzまたはGHzで入力します。
- アンテナ利得をdBiで入力します(送受信とも同じ値を使用)。
- 目標のRCSをm²で入力します(参考表を参照)。
- 受信機の雑音指数・帯域幅・所要SNRを設定します。
- 「計算」を押すと、最大距離がkm・mi・nmiで表示されます。
よくある質問
なぜ距離は電力の4乗根に比例するのですか?
電波は目標へ向かう往路で一度広がり、反射後の復路でもう一度広がります。そのためエコーは片道リンクの1/R²ではなく1/R⁴に従います。式全体の4乗根を取ると距離は電力に対して緩やかにしか変化せず、距離2倍には電力16倍が必要になるのです。
航空機のRCSはいくつを使えばよいですか?
軽飛行機はアスペクト角によりますが、おおよそ1〜10m²です(側面は大きく、正面は小さい)。ステルス整形された現代の戦闘機は1m²未満まで下がります。初期見積もりでは民間航空機として2〜5m²が妥当です。
パルス積分にはどのような効果がありますか?
Nパルスをコヒーレント積分すると、実効SNRが最大10·log₁₀(N)dB向上します。100パルスの積分で最大20dBの実効感度向上となり、尖頭電力を上げずに距離を大幅に延ばせます。現代レーダーの標準テクニックです。
雑音指数はそれほど重要ですか?
はい。雑音指数は4乗根の下の分母にあります。受信機で1dB節約できれば距離が約6%伸び、同じ距離ならより小さく安価な送信系で済むことになります。
天候は方程式にどのように影響しますか?
方程式は自由空間を前提にしています。雨や霧は片道減衰を加え、その大きさは10GHz超の周波数ほど大きくなります。Xバンド(10GHz)の長距離経路では、大雨時に片道1〜10dBの損失が加わるため、気象レーダー設計では主要因子です。
車載レーダーにも使えますか?
出発点としては使えます。77GHzの車載レーダーも同じ方程式で、短距離(100〜300m)・小型アンテナ・大量のパルス/チャープ処理が特徴です。77GHzは波長が短いためアンテナは小さく済みますが、降雨減衰とビーム幅の管理が決定的に重要になります。
ヒントとアドバイス
距離は4乗根で効くため、まず受信機を改善しましょう。雑音指数の1dB改善は約6%の距離延長で、送信電力の1dB増加と同じ効果です。パルス積分(Nパルス)はSNRを最大10·log₁₀(N)dB改善するため、コヒーレントレーダーが多数のパルスを積分する理由はここにあります。実目標のRCSはアスペクト角で激しく変動します。表の値は概算平均であって保証ではありません。10GHz以上では降雨減衰が無視できず、単一パルスのバジェットから差し引く必要があります。地上レーダーは完全なものでも無線地平線の先は見えません。見通し距離計算ツールで確認してください。
関連ツール
Friis伝搬損失計算機
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出典と参考文献
最終確認:2026年8月。
- Merrill I. Skolnik — Introduction to Radar Systems。
- IEEE Radar Conference — レーダー方程式の基礎。
制限事項
自由空間における単一パルスの推定です。実際のレーダーはクラッター、大気減衰、マルチパス、RCS の変動、レーダー水平線によって制限されます。運用予測には、パルス積分、処理利得、損失バジェットを加える必要があります。