📡️ 見通し距離計算機
2つのアンテナ高から光学見通し・4/3地球の無線地平線・60%フレネルゾーンを算出。WiFi、マイクロ波、アマチュア無線リンクの設計に最適です。
このツールとは?
ポイントツーポイントのリンクを設計する前に、まず両端が互いを見渡せるかを確かめます。光学的な見通しはアンテナ間の直線ですが、地球は丸いため、実際に使える無線地平線は幾何学的なそれより短くなります。電波は大気中でわずかに屈折して地表の丸みに沿って回り込むため、設計では4/3地球半径モデルを使います。地平線距離は約√(4/3)≈1.15倍に伸び、おなじみの目安式「地平線距離(km)=4.12×√h(m)」が導かれます。
2つのアンテナに見通しがあるとは、両者を結ぶ直線がすべての障害物より上を通ることです。高さh(m)のアンテナの光学地平線は約3.57×√h(km)、4/3補正を加えた無線地平線は約4.12×√h(km)です。ただし見通しが通っていても、フレネルゾーンの確保が必要です。一般に中間点で第1フレネルゾーンの60%以上が空いていないと、障害物回折によって数dB奪われます。伝搬損失まで含めたバジェットはFriis伝搬損失計算ツールでまとめられます。
仕組み
高さh₁とh₂(m)の2つのアンテナについて、全光学地平線距離はdₖ=3.57·(√h₁+√h₂)kmです。4/3地球モデルでは係数が4.12になります。さらに中間点で必要なフレネル半径F₁=½·√(λd)を求め、F₁の60%に相当するクリアランスを報告します。最後に、入力したリンク距離が無線地平線の範囲内かを判定します。
| 高さ(m) | 光学地平線 | 無線地平線(4/3) |
|---|---|---|
| 5 | 8.0km | 9.2km |
| 10 | 11.3km | 13.0km |
| 20 | 16.0km | 18.4km |
| 50 | 25.2km | 29.1km |
重要な出力が中間点のフレネル半径です。2.4GHz・5kmのリンクなら約12.5mなので、中間点の障害物に対しておよそ7.5mのクリアランスが必要になります。無線地平線に対するリンク距離の照合とあわせて、リンク全体のマージンを設計してください。
使い方
- アンテナ1とアンテナ2の高さをメートルで入力します。
- リンク距離をkmで入力します。
- 周波数を設定します(フレネルゾーン計算にのみ使用)。
- 「計算」を押すと、光学見通し・無線地平線・フレネルクリアランスが表示されます。
- 無線地平線と距離を比較し、リンクの成立可能性を判断します。
よくある質問
光学見通しと無線見通しの違いは何ですか?
光学見通しは大気を無視した幾何学的な直線です。実際の電波は下層大気の屈折でわずかに曲がるため、無線地平線は約15%遠くまで届きます。これが4/3地球モデルの根拠です。光学地平線のわずか先でも信号が聞こえることはありますが、伝搬損失は急増します。
なぜ60%フレネルゾーンのクリアランスなのですか?
第1フレネルゾーンの60%が空いていれば、回折損失は0〜1dB程度に収まり実質無視できます。これを下回ると損失は急増し、30%のクリアランスでは障害物の形状にもよりますが5〜10dB以上失われることがあります。
短いリンクでも地球の丸みは無視できませんか?
2〜3km未満のリンクでは地球曲率による差は数m以下で、支配要因になることはまれです。5〜10kmを超えると決定要因になるため、マイクロ波の鉄塔は高く、巨大な1リンクではなくホップ分割で計画するのです。
片方のアンテナだけ高くすれば地平線は伸びますか?
伸びます。地平線距離は高さの平方根の和で決まるため、低い方のアンテナを上げるのが最も費用対効果の高い対策です。高さを2倍にすると地平線は約41%伸びます。10mから20mへ上げると13.0kmから18.4kmになります。
障害物がフレネルゾーンに侵入するとどうなりますか?
回折で信号が減衰します。60%クリアランスのナイフエッジ障害物なら1〜2dB程度、丸みを帯びた丘や建物ではそれ以上かかります。本ツールのクリアランス出力は、損失を許容範囲に保つための最低障害物間隔を示します。
見通しが取れればリンクは安定しますか?
いいえ。見通しは必要条件であって十分条件ではありません。リンクマージン(Friis式)、アンテナの向き、干渉からの保護も揃って初めて成立します。まず見通しを確認し、次に伝搬損失のフルバジェットを回してください。
ヒントとアドバイス
計画段階では4/3地球モデルを使いますが、異常気象(温度逆転層など)で経路が逆方向に曲がることもある点は頭の片隅に置いてください。樹木は伸びます。森林地帯では余分に2〜3mのクリアランスを残しましょう。60%フレネル則は中間点だけでなく経路全体の最悪障害物に適用します。地形プロファイルで全線を確認してください。1km未満の短いリンクではフレネルゾーンが極小になり、クリアランスよりもアンテナの向き合わせが重要になります。また、屋根の端はナイフエッジ回折の要因になるため、屋上越えの経路にも数mの余裕が必要です。
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出典と参考文献
最終確認:2026年8月。
- ITU-R — ITU-R P.530 地上リンクの伝搬データ。
- ARRL — 電波水平線とフレネルゾーンの参考資料。
制限事項
4/3 地球モデルは標準大気の屈折を前提としています。地形、建物、異常伝搬(ダクト、逆転層)は実際の経路を変えます。フレネルクリアランスは中間点が遮蔽されていないことを前提とするため、重要なリンクでは必ず地形プロファイルで検証してください。